一見のラーメン屋がアットホーム過ぎた件

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先日出先でたまたま入ったラーメン屋で起きた出来事。海外にも支店を出している割と有名店、とんこつベースの創作ラーメンとのこと。

食券を購入してカウンターに座り、店主に渡す。お昼時も過ぎたということで席も余裕があり、欧米からの旅行客2名と近所のおばさん、合わせて3人だった。店主一人で切り盛りしていたがそれでも十分だった。

陽気な店主で、食事を終えた旅行客に「Delicious????」とか聞いてた。南米でもないのにこんな人間がいたのかと驚いた。どこの国からのお客さんか知らないがこのテンションが失礼に当たらないか心配したが、幸い国家間の戦争に発展することもなく、世界レベルの愛想笑いを振りまきながら帰っていった。

私の頼んだラーメンが出来上がり、店主は近所のおばさんと話を繰り広げていた。私はその会話をBGMにラーメンを食す。普段だったらそんな気にも留めない他人同士の会話だが、やたらとアットホームな店主で面白かったのでどうしても耳に入ってきてしまった。そこで仕入れた情報を特定されない程度に店主のパーソナルデータを紹介しておく。

 

  • 元コック
  • 近所のスーパーが良い肉を安く売っている
  • 専用牧場を抱えているからだ!
  • 子供が4人いる
  • 嫁はいない
  • 家で料理をする
  • 一番下の子は中学生
  • 反抗期で生意気

 

 ラーメンを食べ終えたおばさんに怒涛のパーソナル情報を提供してくる店主。間断なく繰り広げられるトークに無料の替え玉を頼むタイミングを伺っていると、たまたま目があった店主が替え玉を勧めてくれたのでお願いした。

おばさんは店主が麺を茹でている隙を見て帰っていた。店主の話し相手は、現在私しかいなくなった。ある程度の覚悟と一緒に替え玉を受け取ったが、店主はなぜかエプロンを外している。

トイレにでも行くのかと思ったら、

「ちょっとコンビニ行ってくるんで、お客さん来たら待っててもらうように言っておいて。あとTシャツ来てラーメン出しておいて」

意味がわかるだろうか。初めて入ったラーメン屋で、唯一の店員が職務放棄して、店番を委託してきたのである。挙句、冗談とはいえラーメンを作って出せと。
とはいえ、平和主義者の私は、どうせ人が入ってこないだろうと思って、承諾して替え玉を啜る。

すると不運は重なるもので、昼でも夜でもない中途半端な時間に来店する若者が!しかも場所柄なのかヤンチャそうな感じ。私の緊張は最高潮。食券を買おうとしている若者を見ながら、食券買ってカウンター席に座ったら声をかけよう、それまでにサボり店主が帰ってくることを祈ろう。が不運は重なるもので、この若者、1万札しかもってない。
両替のためにカウンター内部をジロジロ探し始めたので私も諦めた。

「買い物行ってくるから待ってください、だそうですよ」

過不足なく情報を伝えた。これで若者がキレて店内で暴れまわって寸胴のスープをぶちまけても私のせいではないはずである。逆に呆れて帰っても私のせいではない、客が来て帰ったことを店主に伝えるかどうかは迷いどころであるが。

「いつもそんなんですよね」

なんと!若者は常連であり、こんな店主にいつも振り回されているらしい。完全にわかりあえている。そしてすべてを受け入れる若者。カウンターに座り店主を待つことにしたようだ。

私はといえば、すっかり安心しきって替え玉を完食しかけていたところへ、店主が戻ってきた。買い出しかと思ったら特にビニール袋は持っていないし、そういえば近所のコンビニって駅の反対側なんじゃないか。ひょっとしてタバコ吸ってきたんじゃないか。とかは思ったけれど、そんなこと特に言う必要もないし、何より帰ってきた安堵感が大きかった。

「あれ、Tシャツ着替えてラーメン出しておいてって言ったじゃん」


必殺愛想笑いを繰り出しながら、替え玉を食べ終える。


「2回目の替え玉安くなってるから、よかったら」

吹き出した。