山も谷もない30後半Webディレクターの手日記

気が付いたら40の背中が見えるようになってきた、バツイチwebディレクターの仕事にほとんど関係ない、日常のことを綴ったり綴らなかったりするブログ

一緒にゴールしようねって30過ぎのおっさんがマラソンでやらない

f:id:kimura_evkitty:20180509215119p:image

ラソン大会に参加した。季節先取り、30℃の夏日を記録した地獄の春の日だった。

 

健康のために走ろう
→目標がないとモチベーションが維持できないのでマラソン大会に出よう
→申し込んだ!練習だ
→無事に完走!次の大会へ

 

これが世の中の増殖するランナーの思考である。私も昔はそうだった。東京マラソンに2回当選し完走した記憶がある。そんなフルマラソン経験者ぶるものだから、驕りがでる。

 

健康のために走ろう
→目標がないとモチベーションが維持できないのでマラソン大会に出よう
→長い距離は練習する余裕とかないし無理はせず10キロ程度に申し込んだ!
→満足した!練習なんていらんわ!
→・・・

 

こんな感じになるのが定番だった。

 

今回も10キロにエントリーした。友人がどうしても一緒に出てくれと多額の謝礼をちらつかせたので参加することとなった。結果謝礼はまだミニストップのソフトクリームだけである。帯がついてるお札はまだか。
その友人も以前どこかのフルマラソンを完走した実績はあったものの、歩いた方が早いだろうというタイムで足切り寸前記録の持ち主だった。

 

ラソン大会数日前、敵情視察ということで友人の具合を伺う。ジムに行ったが4キロで膝が悲鳴を上げたらしい。これはもらったも同然である。そんなやわな膝に負けるわけがない。フルマラソン完走した回数が(1回)違うのだ。この時は相手が定期試験前の作戦を使っているとは夢にも思わなかった。「いやー、昨日ゲームやってて勉強全然してねえや」のやつである。

 

大会当日、現地でゼッケンを留める友人を尻目に余裕の一服。目標タイム1時間を狙うからもっと前からスタートしようという自分に対し、制限時間1時間半も危うい、自殺行為だと頑なに最後尾を主張する友人。経験者の余裕から私が折れる形でスタート位置についた。遠くの方で号砲がなる。ぞろぞろ歩きながらスタート地点を通過したのはその2分後くらいであった。

 

人数の規模は大きくないが、道路の規模も大きくないので狭い道路に人がひしめき合っている。私はもどかしいペースにイライラしながら友人と並走していた。この大会、運営の怠慢か陰謀か道中一度も経過距離を表示してくれていなかった。目標タイムを考えるともう1キロは経過していないとまずいのに全然距離の表示が見つからず、私は友人を後にペースを上げた。まだまだ人がゴミのようにいる中、人並みをすり抜けるように走った、その姿まさに忍者。調子に乗る忍者。盛り上がる沿道の声援。ニンジャ!フジヤマ!ハラキリ!腹痛い!!

 

今回のコースは一本道で途中折返しがあるものだった。折返した人間とこれから折り返そうとする人間がすれ違うことになる。往路で見捨てた友人の亡骸を拾うか嘲笑う予定だったが、私自身が死にそうになっている。やばい。お腹痛い。とはいえ制限時間ギリギリの予定だったやつだもの、すれ違うのは相当先のはず、と思った矢先にいた。完全に試験前のブラフだった、余裕そのものである。ミイラ取りがミイラの意味として辞書に載る日も近いかもしれない。

 

折り返し地点は私の(小学生並みの)頭脳によると5キロ地点である。友人とすれ違ったのは折り返し地点から300メートルと離れていなかったろう。となると最大でも現在の差は600メートル。ここからは算数の問題にでてくるたかしくんとお兄さんの関係に似ているのだけれど、走る速さが異なると差が広がるか縮まるはずである。ここに来て算数の知識が役に立つとは思わなかった。そして、今おそらく勢いがある、速いのは友人である。そうなるともはや追いつかれるのは自明の理。ニュートンじゃなくたってわかるわ。しかし、たかしくんとお兄さんと我々の決定的な違いがある。一定の速度で走るとは限らないのだ。奇しくも友人は折返しの5キロ以上を走り込んではいない、膝が悲鳴を上げるのも時間の問題である。折返しまではなんとか形になったが、そこから先の未知の距離ゾーンで亡骸となるだろう。算数なんて当てにならないんだよ。

 

とおぼろげな頭で考えながら給水ごくごくやってたら追いつかれた。残り1キロちょっとだったと思うんだけど、まだ生きてた。むしろ自分が死んでた。一瞬並走するんだけど、すべてを悟った私は先にいくよう促した。試験前全然勉強してないって言ってたやつに負けた、安心して本当に勉強しないでゲームとかやっちゃうタイプの人間だった。

 

もうこのまま歩いてもいいかなって思ったのだが、この後、勝ち誇った顔をされると思うと異常に悔しかったので走り続けることができた。おかげでゴール直前になんか追いつきそうになったので、この後歩けなくなってもいい覚悟で華麗なスパートを決め気づく間も無く追い抜いてゴールした。競馬でいうと完全に差した。正確には「ずりーぞ」とか言って追いかけて来たけど抜き返される前にゴールだった。最後の直線があと50メートル長かったら抜かれてたし、力尽きてた。

 

結局3秒差で友人には勝利し目標タイムもギリギリ上回った。制限時間を心配していた友人にしたら大健闘だと讃えるところなのだろうけど、完全に負けた気分。大人の練習してないアピールは信用しないようにするのが今回の教訓。

 

それと何事においても調子に乗ってペースを上げるのが自分の悪い癖だなと思った。

ラソンも、お酒も、あとブログの更新も。絶対にそのペースでいくと後悔する。