山も谷もない30後半Webディレクターの手日記

気が付いたら40の背中が見えるようになってきた、バツイチwebディレクターの仕事にほとんど関係ない、日常のことを綴ったり綴らなかったりするブログ

サウナから天国に行きかけた話

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家族旅行で温泉に行ってきた。30を過ぎた出戻り中年息子に、嫁が里帰り育児中で羽を伸ばしている息子が母親の還暦を祝うために旅行に行った。今まででは考えられない親孝行である。すべては弟の嫁の入れ知恵である。

 

大浴場には合計3回も入るくらい私は気にいったのだが、特にサウナがよかった。ほかにすることがないから風呂に行ったという意見も否めないが、そんな混雑もしておらず、水風呂も露天風呂とその周りの外気に当たれるスペースと完ぺきな設備設定だった。整う準備万全である。とはいえ大型サウナではないので、最近常識になりつつあるサウナ内テレビはなかった。過去にサウナ内テレビのチャンネル争いについて語ったが、今回はそんな不安は無用である。

 

kimura-evkitty.hatenablog.com

 

テレビのあるサウナなんかだとデジタルの時計があったりするが、そこにあるのは昔ながらの12分計だった。短針が一周すると12分、長針は一周1分。あなたの腕についていたり、チャイムが定期的になる学校の時計みたいなやつと見た目は変わらないが、刻む時間の速さが60倍である。時間が操られてしまっている。もはや何を言ってるのかわからない。

 

テレビがないのでサウナですることがない。そうするとおのずと考え事をしたり時計を見つめるしかすることがなくなる。この時いやらしい妄想をしてしまうと丸出しの下半身が自己主張し始めてしまうので注意が必要である。サウナ内外にいるおっさんのキンタマ袋なんかをみて皴の数を数えるなどで対応しよう。私はそこではじっと目の前の12分計を見つめていた。

 

12分計の長針は1秒に1目盛り動くことになっているのだが、カチッカチッと1秒ごとに刻むタイプではなくスムーズに目盛りを通過していくタイプ。寝室の時計の秒針はこういうタイプじゃないと気になって夜も眠れないだろうなあと思いながら時計を見つめていたら長針の様子がおかしい。動いてはいるのだが、酔っぱらっている。てっぺん(12時)を過ぎてしばらくは順調なのだが、突然の千鳥足。その後3時を過ぎたあたりで急なスピードアップ。スムーズに動くタイプのくせしてカチッカチッって音がしそうな足取りが力強くなることもある。戻ることがないことだけが唯一の救いである。

 

気が付くと、秒数を頭の中でカウントしていた。この酔っ払いは酔っぱらいつつも必ず自分の家に帰って翌日は会社に出かける。その姿に自分を重ねていたのかもしれない。終わりよければすべてよしという言葉があるように、60秒できちんと家(てっぺん)に戻ってきているのであれば、大きな損害はない。私の心のカウントはどこ吹く風、15秒経過時点で11秒付近にいる。しかしここからサニブラウンのような加速を見せるので挽回するだろう。25秒経過したあたりで完全に逆転した。私の心の数字を遠い過去のものとするように、差をどんどん広げにかかる。

 

とはいえ、私のカウントも正確なわけはない。時計の様子をみて時計に合わせにいく気持ちがなかったとも言い切れない。それを忖度と言われれば否定のしようがないので、私は総理大臣をあきらめた、もとい60秒数えるのをあきらめた。

 

その後サウナーにとっての儀式である水風呂に向かう。といってもそのまま子供のように水風呂に飛び込むわけはなく、桶で水をすくい全身の汗を流してから水風呂に入るタイプである、私は。そう思っていたのに、水風呂近辺に幼女が一人でうろついている。どこだ保護者は。目を離すんじゃない。私の場合なんか、娘になにかあったら何言われるかわかったものではないので常に娘に目を付けているぞ。シール感覚で顔から取り出して張り付けてるぞ。

 

とはいえ、近づくと何言われるか危ないご時世なのでシャワーブースで汗を流し、水風呂が空いた頃合いを見計らって入水。五臓六腑に染み渡る。すると先ほどの幼女が再び短期出撃。ここをプールと勘違いしているのかのはしゃぎっぷりだ。目を合わせたらやられる、そんな思いで私は壁のタイルを眺めてやり過ごしてなんとか事なきを得た。

 

その後一転ものすっごいおっさんが近づいてきて「これ水風呂かい、かぁ~、すげえ」って言いながら指で温度を確かめて去っていった。あまりに一瞬の出来事過ぎて何も反応できなかった。高速道路でF1の車に抜かれたみたいな感じだった。捕まるけど。

 

その後露天風呂の脇で風にあたって整って天国気分で大浴場を後にする。

 

ホテルの最上階にあった大浴場から部屋に戻る下りのエレベーター、先に乗っていたら水風呂のおっさんも来たので乗るかと思ったら「上いかない?」って言われたのでどこに向かおうとしてるのかわからないが、下にいくと告げて扉を閉めた。エレベーターが動く前に再度扉が開く。「間違えた、ここ一番上だった。上行ったら天国行っちゃうわ」と笑いながら照れ隠しに私の肩をバシバシしていた。天国に近いおっさんだなと思った。

 

サウナっていいですね

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