幼馴染の電子レンジとの死別

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私が両親よりも(筋肉よりも)(サガミオリジナルよりも)信頼しているのが電子レンジである。現代科学の申し子、四角いでんじろう先生、松岡修造、そんな言葉がぴったりな便利な箱である。

 

初めて一人暮らしをした15年ほど前、ちょうど出戻りした知り合いの娘さんから電子レンジを譲り受けた。思えば電子レンジ以外にも、洗濯機、冷蔵庫はちょうど結婚した知り合いにもらったし、食器棚、炊飯器ももはや知り合いでもない人から人づてでもらった。買った電化製品なんてなかったかもしれない。そして電子レンジは一人暮らし以来10年以上、料理もできない、コンビニで弁当を温めてもらえない私を支えてくれた。引っ越ししても結婚してもこいつはずっとついてきてくれた。他の電化製品はことごとく処分された。

 

私が家庭の事情で実家に戻る際にも、唯一残されていた電子レンジは一緒に出戻った。ちょうど実家の電子レンジの調子が悪く、気合が入りすぎて必要以上に温めてしまうなどの傍若無人な態度だったということで、出戻り道具としての電子レンジは重宝された。

 

それから1年後、再びの上京(埼玉だけど)の際にはさすがに現役で働いている電子レンジをかっさらっていくのは忍びないので引っ越してしばらくしたら買おうと思っていたら、元祖父母の家で今空き家に置きっぱなしになっていて、父親が会社の休憩室に持ち込んで勝手に使っていて、もう使わなくなった電子レンジを届けてくれた。引っ越して最初に買う電化製品は当然電子レンジと思っていたので、30超えた息子ながらラッキーてなもんではしゃいだものである。おかげで、それ以外の必要家電製品をそろえる気力がなく、洗濯機、テレビ、冷蔵庫とそろったのは引っ越しから2か月は経過していたと思う。

 

年末に実家に帰った際に、なぜか私の電子レンジがなくなっていた。私の知らないレンジがそこにいた。私の代わりに我が物顔でいた。わけをきくと、1児と1胎児の父である弟が、家の電子レンジが壊れたからと持っていったらしい。兄弟で電子レンジの取り合いである。タッチかよ。タッチだったらだらしない兄が生き残って、弟は子供を助けて交通事故で死ぬけど。幼馴染の電子レンジは実は昔から私を選んでたんだが。

 

頻度的にはスマホの充電器なみに活躍していた我が家の電子レンジ。そんな電子レンジが突然壊れた。奇しくも実家に帰って救援物資(レンジでご飯とか)をもらい帰宅した夜だった。おなじみの電子レンジ調理を行おうとしたタイミングだった。その夜は家から出たくなくて初めて出前館で弁当を頼んだ。配達してくれる料金になるために2.5人前注文した結果、食べきれず朝ごはんに回したら、冷たかったので温めようとしたときに再度電子レンジの死亡に気が付いた。半日で2度レンジの死に気づかされる。

 

とはいえ電子レンジが使えないとセミと同じくらいの寿命な私は、とりあえずこいつの処ぶ、弔い方法を検索する。洗濯機やら冷蔵庫を処分した時に売れるかと思ったら逆に金とられた記憶がよぎる。電子レンジは大型家電には分類されないらしく、私の地域では燃えないゴミ扱いらしい。ビニール袋にいれてそのまま捨ててくれと。葬儀の規模ではない、心から偲ぶ気持ちがあるかどうかではあるが、お金かからず対応できるにこしたことはない。

 

とはいえ、父の実家で数年程度前からとはいえ使っていた電子レンジである。息絶えたこと、私が喪主を務めることを父に告げる。父はそっけなく了解とだけ返事する。

 

数時間後、再度父からの連絡

使っていない電子レンジがあるので送れるけどどうする?

実家のまわりにはどんだけ電子レンジがあふれてるんだ。

 

自分で電子レンジを買うことは生涯なさそうである。

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