思春期に乳首が痛いと父親に相談した話
目立った反抗期のない思春期だった。
ジャンプを母親に買ってこさせたり、壁に穴を開けたりしたことはない。壁が硬かったのと、わたしが非力なことも要因の一つかも知れないが。
父親には思春期特有の第二次性徴の相談なんかもしていた。
具体的に言うと、乳首が痛いと相談をしたことがある。
私には産まれたときから、見ても一向に興奮しないのに乳首という 会社の自分みたいに役に立たない部品が体についている。
中学2年生くらいのあるとき、乳首の内側にしこりがあることに気がついた。
気になりだすといじりたくなるのが人情というもので、家でも学校でも、暇さえあれば乳首をコリコリしていたものである。
私の乳首が初めて役割を持った瞬間である。
今で言うところのハンドスピナーの位置づけに乳首がなるにつれ、しこりはその存在感をまし、若干の肥大化を続けていた。
中学生の当時、私はスラムダンクに影響されたバスケットボール部に入部した。それまで5年間続けていたサッカーをレギュラーが取れなそうだしとあっさり裏切って入部した。
サッカーのレギュラー11人に対してバスケットボール5人、当時から算数は苦手だった。
乳首のしこりはバスケットボールに大きな影響を与えることになる。
バスケットボールのパスの基本は相手の胸をめがけてボールを送る動作からチェストパスというのだが、手のひらで取り損なうと胸に直撃する。
ゴール下は戦場だという言葉があるが、低身長でゴール下に行くこともなけいのに、相手と接触することもないのに、味方からのパスで、私は戦場に散った(死因・乳首爆発)。
そんなことがあって、父親に相談をした。
父親は気持ち悪がらず話を聞いてから、自分の若い頃なったとカミングアウトしてきた。父親の話から聞いたこの症状の概要が以下である。
思春期に起こりがち、そのうちなくなる、白い液体が出ることもある。
友人にも共有していたが、最初なかなか理解されなかった。算数どころか保健体育も知らないんだな、わけの分からないことばかり言いやがって、と思われていたろう。
私自身、父親を信じれなくなるわ、自分の乳首を呪うわ、散々な生活を送った。
しかし数ヶ月後、友人のうちの一人がこっそりと、自分も発症したと伝えてきた。
そこでようやく父親信頼は回復し、乳首は生存することが決まった。奈美悦子には申し訳ない。
友人と私はこの症状を「ちくつう(乳首痛)」と呼んで、できるだけ優しくパスし合っていた。他のやつらも発症しろと呪ったものの、悲鳴は聞こえてこなかった。いつしかしこりと痛みはなくなっていった。
後になって調べてみたら、思春期乳腺肥大症と呼ばれ、男子中学生の何割かに起こるということでいろいろ納得したんだけど、白い液体は一切出なかった。
今思えばそれっておちんちんからでるやつじゃないかな。
サウナのチャンネル争いは悲しみしか生まない
サウナが好きである。
まだまだ素人の域を脱してはいないが、以前は月に1,2回のスーパー銭湯で、今は週1回のスポーツジムで、たまにカプセルホテルで、サウナと水風呂の交互浴を楽しんでいる。
昔は水風呂なんて入る人の気がしれなかったが、今となっては水風呂がなければサウナじゃないじゃん、とさえ思っている。
そんなサウナだが、最近はどこの店でもテレビを備え付けていることが多い。
ただひたすら12分計を眺めたり、砂時計とにらめっこしたり、熱源を見続けることで自分の目がサーモグラフィになることを想像しているだけだと、5~10分を何回も繰り返して楽しむことはできない。
同行者がいるなら話(いつ衆院選に出馬するのか)に花を咲かせることもできるが、あいにく私は一匹狼、サウナの中で一人でぶつぶつ(次の4大ドームツアーの構成を)つぶやいていたら通報されたり、焼け石を投げつけられかねない。テレビがあってよかった。
テレビは爆発の恐れがあるのでサウナ内部に置いてあることはまずない。透明なガラスで隔てられたサウナ室外に設置されていることがほとんどである。音声もきちんと聞こえる。
そこで問題になるのがテレビのチャンネル権である。ご存知のようにテレビには放送局が、リモコンにはチャンネルがつきものである。
食卓で好きなテレビ番組を見れないというチャンネル権問題は深刻な問題ではあるが、一人暮らしをして初めて、幸せな問題だったなと感じる、そんな出戻り息子32歳。
しかし、サウナのテレビのチャンネル権は深刻な問題のままである。
これまでの経験で店によりいくつかのパターンがあることがわかっている。
1つ目はチャンネル固定型である。
これは365日ずっと同じ放送局しか流さないパターンでどこかお金の匂いのする仕組みである。
出会ったことはないが、Eテレ固定のサウナとか、放送大学固定のサウナとかあったら回転はすごく早いと思う。もしくはサウナの中で寝だすやつとかいると思う、死ぬぞ。
ないとは思うが、リモコンが壊れて、本体のボタンも操作できない状況だったらと想像すると笑える。ボリュームの大しか受け付けなくなったら悲惨だなとか、テレビデオからAVが取り出せなくなった学生時代の記憶を思い出した。
2つ目はリモコン提供型。
先日のカプセルホテルもそうだった。客にチャンネル権を委ねる方針で、放任主義みたいなものである。
リモコン本体をサウナ内部に置いておくとチャンネルを変更する行為自体が男塾の競技になりそうなくらい熱くなるから入り口近辺においてある。
そして決まって注意書き「他のお客様にご配慮してお使いください」などと書いてある。
このご時世、見知らぬ人とのトラブルがいつ起きてもおかしくない。さすがに裸同士、凶器をどこかに隠し持っていることはないだろうが、急所は丸わかり(丸裸なので)、キックボクシングの経験者なんかとトラブルになったら、金玉の一個や二個は覚悟しなければならない(金玉の上限は多くの場合二個である)。
つまり、チャンネルを変えるのはサウナに誰もいない時、もしくは全員の了承をとってからになる。全員の了承をとってるうちに人の出入りがあったら、大変である。果たして、誰が新しく入ってきた人か見分けがつくだろうか、難易度は高い(全員丸裸だから)。
どちらにせよ難易度が高いので、殆どの人が遠慮がちになる。その結果、誰もいない時、もしくは開店直後の店員がEテレにしてたら、Eテレ固定のサウナになってしまうわけである。誰かが変えろと思ってもトラブルを嫌う事なかれ主義の丸裸日本男児たちが、そろってEテレを見ているのである。
お父さんといっしょとかみているわけである(息子丸出しで)。
最後がオートチャンネル変更型である。
裏側から店員が、もしくはタイマーで自動的に、人気番組を勝手に選局する仕組みである。ある意味平和的ではあるが、店員のセンスに委ねられる部分が大きい。
Eテレ好きな店だったら、おっさんたちが並んでお父さんといっしょをみることになるわけである(息子丸出しで)。私はEテレ最高だと思っているのでNHK関係者の方には誤解されなきようおねがいします。
以前スーパー銭湯でこのオートチャンネル変更型の弊害に遭遇したことがある。
その時の店のチョイスはNHKで大相撲をやっていた。時刻は6時手前、もうすぐ結びの一番、横綱白鵬が優勝に近づくのか、注目の一番である。
時間いっぱい待ったなし、はっけよい残った残った、がっぷり四つになって長引きそうだ。さあどうなるどうなる、と思った瞬間、チャンネルが勝手にプロ野球中継に切り替わった。タイマーが少しズレていたのだろう、相撲の結果はわからずじまいである。
サウナにいた全員が、テレビに向かって「おいっ!」と突っ張りではなくツッコミを入れていた。(丸裸の)おっさんたちが一つになった瞬間である。
初めてのカプセルホテルで経験値を荒稼ぎ
先日また、大人の階段を一歩登ってしまった。
サラリーマンの安息の地、企業戦士(サイヤ人)のメディカルマシーン、そうカプセルホテルである。
終電が早く、乗り過ごすことしばしばな私が、飲み会帰り電車を見送った後にする選択肢といえば、「同僚に朝まで付き合わせる」「個室ビデオ」「ネットカフェ」「泊めてくれる家さがし」なものであった。
会社の近くに住んでいた頃はさらに「タクシー」という素敵な選択肢があったのだが、今タクシーに乗ると4万とかするし、夜が明ける。睡眠時間と現金が飛んでなくなる。
朝まで飲み明かしたりカラオケ行ったりする場合、翌日が仕事だろうと休日だろうと丸一日棒に振ることになる。その上使ったお金はよくわからないことになるし、最悪財布自体なくす。そもそも朝まで覚悟で飲み始めて一人また一人と脱落していくと以下の選択肢からまた選ばなければいけない。
個室ビデオはこのブログで何度となく触れてきたが、睡眠を取る場所としての機能ははっきり言って皆無である。あそこはエンターテイメントを楽しむ場所と思っている。寝かせてなんてくれない(個人の感想です)。
ネットカフェは寝やすいブースをGETできれば非常に快適だとは思う。ただリクライニングがあわなかったり、隣のブースのいびきが公害レベルだったり、アラームが延々続く地獄の場合もあるのでネットカフェは宝くじと心得よ。
さらに、私に泊めてくれる家なんてあるわけがない。仮にあったとして、終電逃した時間に連絡してきて泊めてくれって、もはやテロである。かわいそうな振りした、テロである。そうやって寝床も友人もなくしていくわけである。
そんな中、突如として現れたカプセルホテル。これまでどうしても、紳士の嗜みやちょいワルオヤジ的なイメージと抵抗があって二の足を踏んでいた。だが飲む相手も散り散り、さらに寄る年波に勝てず明日の仕事が不安になり、噂にだけ聞いていた近所のカプセルホテルに足を運んだ。
時間は2時を回っていたところ、週末ではなかったのでそこまで混雑していたわけではなかった。受付を済ませるとロッカーの鍵とカプセル番号札をもらった。ロッカーの中に館内着がはいっており、これに着替えて眠るらしい。
せっかくなのでと大浴場を満喫し自分のカプセルに向かう。
平日ということでさほど混雑していなかったはずなのに、使用中カプセルは一部に集中していた。2階建ての作りになっているが、私は下段だった。登るのが面倒なのと、上の動きで音が出る可能性があるというメリットデメリットが双方にあるが、これは好みの問題なんだろう。二段ベッドで小学生時代生きていた私は、上段だと下からの蹴りを受ける可能性を考慮して下段一択である。
個室はそれまで想像していたカプセルよりは快適で、電源、ライト、テレビがあった。そしてテレビではアダルトチャンネルも写った。
とびきり古いAVが流れていた。これで何かする人がいたら嫌だなと思った。隣人が何か悪さを起こさないことを願いつつ寝に入る。
普段7時前には起床する私にとって9時おきは非常に魅力的だった。変な隣人はおらず、ちょっといびきが気になるくらいで実によく熟睡できた。さらに大浴場、サウナと満喫する時間が残っている。朝9時に入るサウナは格別だった。サウナと水風呂の往復も2回やった。いい一日の始まりだ、平和である。
サウナのテレビでは泰葉とイラン人男性の婚約会見の模様がやっていた。日本は平和である。
墓参りの時でも迷惑をかける孫
先月の秋分の日前後、世間的にもお彼岸ということで法事以外では初めて墓参りに行ってきた。田舎の山間にひっそりとある小さな墓地である。
小さい頃、祖父母が健在だった時、顔も知らぬ先祖や親戚たちの墓参りをした記憶はほぼなく、現在も墓参りは祖父母の墓参りという意味合いで行っている。
墓には他にも仲間がいっぱいいるのにである。
これは子供の頃、祖父母の家にあそびに行くことを「おばあちゃん家にいく」と言っていたことに近い。
お小遣いをくれるのはだいたい祖母だったからそう呼んでいたのだと思う。
この時の祖父の気持ちを考えると申し訳無さでドルマークになった目から涙が止まらない。
ただ、祖父母の家には仏壇があった。
仏壇はお墓ではないが、先祖を祀るものでお経を唱えている祖父の真似事をよくしたものである。
今回久しぶりの墓参りで、自分の参拝スタンスに気付かされたので記す。
私は仏壇にしろ、墓参りにしろ、お参りという動作を行っている最中、口にこそ出さないがこんなことを考えていた。
「(サッカーで)点が取れますように」
「成績があがりますように」
「健康でありますように」
「出世しますように」
子供の頃から大人に至るまで、もれなく、こんな願い事をしてた。
熱心にお参りするねえと親戚のおばあさんなんかに言われたこともあった気がする。お参りというよりは、お願い、神頼みである。
先祖が神になった瞬間である。
久しぶりに顔を見せに孫がやってきたと思えば、健康を欲す。生前、お小遣い欲しさにやってきた孫と対してかわらないとも言える。
健康を望んだって、いつ病気になるや、事故にあうやわからないこの世の中、先祖がどんなことをしてくれるのか甚だ疑問ではあるが、想像するに体の内側でウィルスと戦ったり、外側で身に振る火の粉払ったりするんだろう。私はスタンド使いか。
先祖のことを神だの、スタンドだのと、随分罰当たりなことを言っている気もするが、昨今のソーシャルゲームの「神属性」「神タイプ」のような「神大安売り」も手伝って受け入れられると思う。
「おじいちゃん」がモンスターストライクに出てくるのも時間の問題かもしれない。
一番罰当たりである。
ズボンをパンツと呼ぶようになったのはいつからだろう
ベルトをし忘れてしまった。いい大人がパンツにベルトを通さずに出勤しているのである。鳥肌モノである。
ふとした瞬間にパンツが落ちてきてしまったら、パンツ丸出し、セクシーコマンドー外伝状態になる。鳥肌モノである。
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4年前くらいに買った太めのパンツが一切ずり落ちてこない。鳥肌ものである。肉付きは豚に近づくとしても。
ところで、この場合のパンツはチノパンのことであり、私はボクサータイプにしろトランクスタイプにしろ下半身の肌着を重ね着するタイプではないので、そういうタイプに抵抗のある女子は安心してほしい。
小学生の頃のいたずらにスカートめくりとズボン下ろしがあった(当時はみんなズボンと呼んでいたはず)(余談だが、変換ミスでズボン卸とでてきた)(市場かよ)。いたずらをする側の人間は女子にも男子にもいたずらをするし、いたずらをされる側の男子は決して女子にスカートめくりなどしなかった。私は後者であり、理由は帰りの会とかで怒られるからである。
そんなトラウマがあるからか、非常に落ち着かないのだが、ベルトをしていてもある程度の感覚で落ち着かなくなることが、私にはある。チャックが開いているのではないか、と心配になるのだ。
実際にチャックが開いているのは10回に1回くらいなものなので、そんな心配はほとんど杞憂なのに、人とすれ違う度、「今股間の当たりを見られたような」や「立派なものが生えてると思われてるのでは」と心配になっている。
こうなると、意図して何かアピールをしておいたほうがいいのかもしれない。チャックを下げて中からちょっとした垂れ幕を掲げ「たいしたものではありません」とか書いていおいたほうがいいかもしれない。
人に見られてる気がしても、そりゃ股間から垂れ幕垂らしてんだから見るよなって勝手に納得できるだろう。赤ちょうちんののれんじゃあるまいし、どれどれってチャックの中に入ってくるようなサラリーマンだっていないはずである。
最終的には子供連れの親子が
「ママ、あの人チャックから何出してるの?」
「シッ、見ちゃダメ」
って結果的に全体を見られなくなるというか、人としての尊厳もなくなる未来しか見えなくて鳥肌モノである。
スポーツジム素人のススメ 格闘技編
今回もスポーツジムについて報告するので、家に引きこもりがちで体型が気になりだしたサラリーマンには参考にしてもらって、私のように場違い感を出しつつトレーニングに勤しんでもらいたい。
スポーツジムには言わずもがな、インストラクターがいる。そして数々の筋トレマシン、ベンチプレスみたいなフリーウェイトスペース、ランニングマシンやエアロバイクのような有酸素運動マシンが置いてある。
マシンの使い方はある程度想像がつく。わからなければインストラクターがウロウロしているので質問することができるが、我々のようなジム素人にとってインストラクターはドラクエでいうところのモンスターである。エンカウントした日には、あの手この手で筋トレさせてくる。そのくせ経験値はあんまりくれない。何度も何度も倒した暁にようやく大量の経験値(と筋肉)を手に入れることができる(という伝説がある)(国王の話では)。
自分のペース、使い方でマシンをこなしていると、筋肉にとって本当に最適な運動ができているのか不安になることがある。
そんな時に私がおすすめするのは、スタジオプログラムである。
ジムによって呼び方などは様々だと思うが、マシンスペースとは別にいくつか小さめの体育館のような部屋がある。そこでは学校の時間割のようにカリキュラムが組まれていて、好きなプログラムに参加することができる。
主なところを紹介すると
・ヨガ
片岡鶴太郎でおなじみ、インドを発祥とする体操。極めると手足が伸びたり、空を浮いたり、火を吹いたり、テレポートできるようになる。ダルシムなら。
・エアロビクス
レオタードでおなじみ、音楽にあわせてワンツーワンツーやる運動。子供の頃ドラゴンボールで亀仙人がTVで見てた。
・太極拳
亀仙人でおなじみ、中国の公園で老人が集まってやる拳法。その参加者の多さから北斗神拳(一子相伝)とは真逆、いわゆる対局拳とも呼ばれている。
・ラテンダンス
陽気でおなじみ、ラテンのダンスである。国、地域はわからないけど、陽気そうなので、天気がいいところ。
これらは全部、恥ずかしいので全くおすすめしない。
あなたが運動会でフラダンスを全力で踊れたり、キャンプファイアで女子と躊躇なく手を握りフォークダンスできるタイプの猛者なら、あるいは参加できるかもしれない。
私のような、未だに思春期やらをこじらせれてるような人間にはハードルが高い。
そんな私のおすすめは
・ファイトアタック的な名前(ジムによって差異あり)
音楽に合わせてシャドーボクシングで体を鍛えるプログラムである。
強くなりたいんだと拳を握りしめた中学生の頃の思い出が蘇る。残念ながら早々に拳からチ○コに握り変えてしまったのが人生のターニングポイント。
物騒な世の中、少しでも生存確率を上げるにも、純粋にダイエットでも、これは最適である。リズム感がなくダンスなど全くできない人間にも格闘技ならいける。
スタジオプログラムはマシン担当よりもやや上級(に見える)インストラクターが前、生徒たちはそこを見ながら見よう見まねでシュッシュッとやるものである。小学生のころのラジオ体操をイメージしてもらえばいい。
パンチにキックに様々な技を教えてくれるのだが、インストラクターが
「鼻を潰して」
「右に振って、回し蹴りでとどめ」
「ボディで下を向かせて、アッパー」
「髪の毛引っ張って膝蹴り」
シャドーなんだけど実際に相手がいるような、血飛沫が見えるような煽りをドンドンしてくる。相手を想定したほうがエクササイズ的には間違いなくいいのだろうけど、小学生の頃たまたまサッカーボールを当てしまい怒り狂ったやんちゃな後輩にボコボコにされた程度にの殴打経験しかない私は、意識すればするほど縮こまってしまう。
相手を意識せず、TVで見たボクサーを真似るイメージでシュッシュッとシャドーをやるとちょっとは様になっている気がする。いい汗かいてる。
ちなみにスタジオはほぼ全面鏡張りになっていて、自分の動きなどを確認できるようになっている。
ちなみに私の正面の鏡の中にいるやつは、どう見ても素人。ひょろすぎて私が戦っても勝てる気がする。
5500円の小便
居住地域と金額とプランと何よりモチベーションがうまいこと噛み合わさった時に、スポーツジムに、私は通う。
これまで引っ越しの影響もあったが、ダイエットを決意し、何店舗かのスポーツジムに登録し、月謝を納め、そして通わなくなってきた。
最近は会社が法人会員になっているジムが近所にあるためそこにお世話になっている。月額料金はかからず一回利用するごとに数百円の小銭を払うというとても経済的なヘルスケアである。法人会員バンザイ。
平日は家と会社の往復。おもしろ出来事も起きない、ラノベの本編開始前の主人公みたいな生活を送っている私なので、ジムで面白な出来事があった際にはここでお伝えしていきたい。
これは数年前通っていたジムでの出来事である。
そのジムは若者割引という貧乏学生ホイホイなプランがあって、30歳までの月額料金が5500円だった。私は31歳になるまでは通い倒してやると意気込み、通って、そしてサボった。
そんな私の向上心のなさ、根気のなさ、ヘタレ具合は今回忘れてほしい。向上心があるやつはダイエットが必要になるくらい太ったりしない。ヘタレじゃないやつがフリーウェイトのコーナーでベンチプレスに潰されたりしない。
ジムにはスパ、温泉・サウナがある。これもジムの売りの一つで、これ目当てに月額料金を払ってもいいんじゃないかと思う。当時のジムは月額料金がそもそも安かったので、今となっては、そこまで充実したスパ施設ではなかったと思うのだが、月額入会初心者の私にしてみたら、少し広い風呂と複数の蛇口、サウナがあるだけで、銭湯じゃんとテンションが上がっていた。
入会して数ヶ月がたった頃、ジムに通うペースはどんどんと減ったが、施設の使い方にはある程度慣れていた。風呂でゆったりと波に揺れるワカメの真似をしていたら、おそらく学生だと思われる二人組が洗い場にやってきた。テンション上がっていたので、ジム初心者だろうと思って温かい目で見守っていた。
すると、片方の学生が、小便をしだした。もう一人の学生は
「うへ、きたねえ。ははは」と大爆笑である。
小便をしている学生は
「月額料金払ってるんだから、これくらいしねえと」などと意味不明なことを宣っている。
小便(する行為)に5500円の価値がついた瞬間である。学生にしてみたら5500円で「小便する」という行為がドン・キホーテや、ドラクエの道具屋で売っていたら、迷わずかって、洗い場で小便をするのである。逆にいえば、小便をさせてやれば5500円もらえるかもしれない。新たなビジネス誕生の瞬間であった。
ちなみに私の隣に、毎日風呂に入るためだけに月額料金を払っているんじゃないだろうかというご老体はなにやら険しい顔をして気張った後に、完全に緩んだ表情に変わった。
多分、こいつも小便した。
そして私はそのジムに通うのをやめた。