バチっとくる静電気はもうイヤだ
静電気が嫌いだ。乾燥してくる冬場は特にこいつがいろんなところで襲ってくるので憂鬱な季節である。
もともとリアクション芸人ばりのオーバーリアクションで回りをドン引きさせてきた34年間の人生だった。ビビッてばかりの人生だった。しょっちゅう、オーバーなんだからとか言わてきた人生だった。道を歩いてちっさい虫が飛んできただけでも声をあげるような人生だった。女子か。
静電気が発生しやすいスポットというのはある程度決まっている。中学校の渡り廊下、学生寮の下駄箱、向かいのホーム、路地裏の窓、こんなとこにいるはずもないのにバチっとくる。社会人になってからの静電気スポットはもっぱら会社の階段の扉になっている。弊社はオフィスビルの複数階に入っているのだが、フロア間移動にエレベーターを使うよりも非常階段を使うことの方が多い。その非常階段にたどり着くために2枚の扉をクリアしないといけないのだが、その扉どちらも静電気の巣である。
非常階段というだけあって、防火防煙に優れているのだろう、まあ重い。重いってことは想像つくだろうが、鉄である。鉄だと、いるのだ。静電気が。なんでこんな蓄えられるんだって感じでかなりの高確率でバチっとくる。ポケモンGOを開けば、絶対ピカチュウがここにいる。
途中転職したりオフィスが変わったりしてもだいたい非常階段には静電気がつきものだった。私だってドアノブに手をかけるたびに電流ビリビリでビビリのまま負ける男ではない。
扉と相対してノブに手をかける前に私は扉全体を手のひらでタッチする。時にそれはハイタッチのように、時にそれは相撲の張り手のように、結構な勢いで打撃を加える。これにどんな意味があるのか、科学的には全くわからない。だが、私の独自の解釈で静電気は先端ないし一部が触れるときにバチっとくる気がするので、先に手のひら全体で鉄に触れることで仮にバチっと来た時の痛みのリスクを分散しているつもりである。
さらにこの扉との関係性において先に接触したので、もう来ないはず、という謎理論も猛威を振るう。手のひらで静電気をうけていようがいまいが、すでにお前には唾をつけてあるのだぞと、力関係を誇示することによって、暴れる静電気を抑えられるのだ。何が抑えられるのだ、だ。
これの効果があるのかどうかは全く不明だが、毎回ビリビリとくることはない。ただし、毎回扉にハイタッチしている人間を人はどう見るのだろう。しかも職場で。
ちなみに静電気のビリビリと人間が恋に落ちるときのビビビって似ているので、扉の向こうにいる人に恋心を抱いてしまうこともあるかもしれない。
得てして中年のおっさんである
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